奄美大島と加計呂麻島の歴史を紐解く!神秘の島に残された過去の爪痕とは

奄美大島と加計呂麻島の歴史を紐解く!神秘の島に残された過去の爪痕とは

東洋のガラパゴスとよばれる奄美大島の南端にある古仁屋港から、船で15分ほどかけて行ける島が加計呂麻島です。加計呂麻島は神秘の島とも称されていますが、呼び名の背景を知ることで、より島の魅力がわかりやすくなるでしょう。この記事では、奄美大島と加計呂麻島、それぞれの歴史や魅力を伝えます。加計呂麻島観光におすすめのリゾートホテルも紹介するので、参考にしてください。

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奄美大島ってどんなところ?

奄美大島ってどんなところ?

奄美大島は鹿児島県と沖縄県のほぼ中間地点に位置し、四方を海に囲まれています。島は日本の離島のなかで大きい部類で、沖縄本島、佐渡島に次ぐ三番目の大きさです。日本で南国リゾートというと、沖縄をまっさきに思い浮かべる人が多いでしょう。奄美大島も素朴な自然を楽しめ、海の美しさでは沖縄に引けを取りません。島には日本で二番めに大きなマングローブの原生林があり、カヌーで川を下りつつ原生林を観察することができます。海ではウミガメを見ながらシュノーケリングをしたり、ホエールウォッチングをしたりと楽しみが満載です。島特有の生態系にも注目しましょう。奄美大島は東洋のガラパゴスとも呼ばれており、絶滅危惧種に指定されているアマミノクロウサギなど貴重な生き物が生息しています。

奄美大島の伝統文化にも触れてみましょう。泥で染めることが特徴の大島紬や、サトウキビで作られた黒糖焼酎など、現地でしか触れられない文化があります。唄や踊りで綴られる伝統行事やお祭りを見学してみるのもおすすめです。

奄美大島の歴史
奄美大島の歴史
奄美大島の歴史

奄美大島の歴史

沖縄には、かつて琉球王国がありました。琉球王国は450年もの間続き、奄美大島の統治について何度か薩摩と争った末に、一時的に島の統治権を勝ち取っています。それでも、江戸時代になると再び薩摩藩が琉球王国に侵略を開始し、次々と周囲の島々に攻め込んだ結果、奄美大島は薩摩藩に支配されることとなりました。なお、現在でも奄美大島でとれるサトウキビですが、当時は薩摩藩の財政を立て直すのに一役買ったとされています。江戸幕府が衰退した後は、西郷隆盛が奄美大島を訪れ、薩摩のさまざまな文化を伝えました。西郷隆盛の来訪は、奄美が薩摩藩に属する島であると、島民が意識するきっかけになったことでしょう。


太平洋戦争が始まると、アメリカ軍は沖縄に続いて奄美大島も支配しました。奄美大島を日本から引き離したかった米軍の統治は、大変厳しいものであったとされています。島は鹿児島に属したま米軍から支配されていましたが、長く抑圧された島民たちによる反発はつのり、日本への復帰を目指す活動は次第に激しくなりました。そして、1953年12月25日、ついに沖縄よりも一足早く日本に復帰し、日本の奄美大島としての歴史を刻み始めたのです。

さらなる離島!加計呂麻島へ行こう

さらなる離島!加計呂麻島へ行こう

神秘の島とされる加計呂麻島へは、奄美大島の古仁屋港から、町営フェリーか海上タクシーでアクセスできます。奄美大島から日帰りで手軽に行くことができるこの島は、映画のロケ地や、美しい南国風のビーチなどの観光スポットが盛りだくさんです。フォトジェニックな景色の写真が撮れると評判が高いこの島を、ぜひ訪れてみてください。加計呂麻島を訪れる際は、瀬相港行と生間港行の2つの乗り場があることに注意しましょう。2つの乗り場は距離が近いですが、出航時間や船が異なるので間違えないようにしなければなりません。


古仁屋港から加計呂麻島への所要時間は約15分、船の間隔は1時間程度と短いので気軽に島に行き来できるでしょう。港の付近には海の駅などもあるので、船を待っている間に手持無沙汰になることもないでしょう。なお、船は悪天候により欠航になることもあります。加計呂麻島へ行く際は、余裕をもってスケジュールを組むことをおすすめします。

神秘の島と呼ばれる所以とは

神秘の島と呼ばれる所以とは

加計呂麻島が神秘の島と呼ばれている理由を紹介します。まず、天候と景色の関係に注目してみましょう。加計呂麻島は、悪天候のときは恐ろしいほどの風が吹き荒れます。ところが、嵐が過ぎ去り天候が回復すると、一転して時間がたつのを忘れるほどの、のどかな風景を見ることができます。自然が織りなす大きな変化を見せつけられることで、神秘的な気分を味わうことができるでしょう。また、美しく雄大な自然からも神秘さを感じることができます。


加計呂麻島のスリ浜は、映画「男はつらいよ」シリーズのロケ地としても知られている人気ビーチです。海に長くのびた桟橋を渡ると、天然の水族館とも呼ばれる澄み切った青い海を見渡せます。天然の水族館とも呼ばれる海には多くの魚が泳いでおり、ときには、ウミガメに遭遇することもあります。うっそうと茂るマングローブ林も見どころの一つです。カヌーを漕ぎながら間近で枝ぶりを眺めてみてはいかがでしょうか。ほかにも、荘厳な雰囲気の洞窟や、樹齢700年とされる巨大なガジュマルの木など必見です。このように、加計呂麻島には雄大な自然が手つかずのまま残っています。神秘の島と呼ばれるのも納得できますね。

加計呂麻島が今の瀬戸内町になるまで

加計呂麻島が今の瀬戸内町になるまで

加計呂麻島の住所は、鹿児島県大島郡瀬戸内町です。かつて加計呂麻島を含む奄美大島が薩摩藩の支配下だったとき、現在の瀬戸内町の行政区分は、大きく2つに分かれていました。2つの区分は島を超え、地理上ではかなり複雑であったとされています。明治時代になると行政区分が整理されましたが、以前として島が2つに区分されている状態は変わりませんでした。また、この頃に各地に役場ができ、奄美大島の古仁屋には東方役場、加計呂麻島の押角には渡連方役場などが設置されました。明治末期になると、加計呂麻島の東西に分かれていた渡連方と実久方が合併し、ようやく島は鎮西村として統合されたものの、まだ奄美大島とは区分けされたままでした。最終的に奄美大島の一部が加計呂麻島と町村合併し今の瀬戸内町になったのは、1956年9月1日です。

太平洋戦争では重要な基地として使われた

太平洋戦争では重要な基地として使われた

太平洋戦争において、瀬戸内町には要塞司令部が置かれ艦船が出入りする日本軍の重要な基地として扱われていました。加計呂麻島の呑之浦には「震洋」の部隊が置かれ、今でも基地跡では震洋のレプリカを見ることができます。なお、震洋とは、敵の艦隊に突撃する、いわゆる特攻目的の部隊です。レプリカが置かれている穴は実際に戦争で使われていたものなので、当時の様子に思いをはせてみることができます。美しい自然が魅力の加計呂麻島ですが、悲しい戦争の歴史を学べる場所であることも念頭に置いておきましょう。


ほかにも戦争を振り返るスポットはあります。加計呂麻島の東端にある安脚場戦跡公園には、かつては軍事施設が置かれており、弾薬庫や金子手崎防備衛所の建物跡が残っています。今では公園として整備されていますが、大島海峡を見渡せる絶景と、戦時中の廃墟となった建物を同時に見学できるとあり人気スポットとなっています。なお、加計呂麻島付近の海中では今も銃弾が発見されることがありますが、たとえ見つけてもけっして触ってはいけません。もし銃弾を見つけた際は、瀬戸内町に報告しましょう。

源氏・平家にも縁があった?

源氏・平家にも縁があった?

加計呂麻島には、源氏・平家の合戦のエピソードも残されています。一説では、壇ノ浦の戦いに敗れた平資盛が流れ着き加計呂麻島を統治したとされています。重要無形民俗文化財に指定されている「大屯神社」は平資盛を祀っており、年に一度開催される「大屯神社祭」には毎年多くの人が訪れます。この祭で披露されるユーモラスな踊り「諸鈍シバヤ」は、平資盛が伝えたとされています。紙のお面をかぶって踊るこの伝統芸能は約800年もの歴史があります。


源氏側のエピソードも紹介しましょう。源頼朝の叔父であたる、源為朝という人がいました。為朝は平清盛に追われ伊豆大島で自害したと言われていますが、逃げのびて沖縄に渡ったという説が伝わっています。源為朝が逃げる途中で立ち寄った実久で知り合った女性との間に子どもが生まれ、その子ども「実久三次郎」は数々の伝説を残したとされています。実久三次郎を祀った「実久三次郎神社」では例年豊年祭が行われており、島民が伝統を大切にしている様子が伝わってきます。

加計呂麻島を舞台にした【海辺の生と死】

加計呂麻島を舞台にした【海辺の生と死】

「海辺の生と死」は、加計呂麻島を舞台にした映画です。映画の原作となったのは、小説家の島尾敏夫と、同じく小説家であった島尾の妻・ミホの出会いと恋のエピソードです。島尾敏夫は、第二次世界大戦当時、第十八震洋隊を率いていました。震洋は特攻艇であったため、いずれは出撃命令に従い特攻せねばなりません。加計呂麻島で敏夫とミホは出会い恋に落ちましたが、敏夫は特攻隊員であるがために、ミホはただ一緒にいたいと願うしかなかったという、せつないラブストーリーが描かれています。


主演でミホを演じたのは女優の満島ひかりで、第9回TAMA映画賞の最優秀女優賞を受賞、さらに第32回高崎映画祭では最優秀主演女優賞も受賞しています。映画のストーリーや俳優陣の熱演もさることながら、加計呂麻島の雄大な大自然も見逃せません。映画を鑑賞して、素晴らしいロケーションを楽しんでみてはいかがでしょうか。

加計呂麻島を望むリゾートホテル【THE SCENE】

加計呂麻島を望むリゾートホテル【THE SCENE】

加計呂麻島を見渡せる、奄美大島のリゾートホテルを紹介します。「THE SCENE」はオーシャンビューのゲストルームから、対岸の加計呂麻島を望めます。すべての部屋から海を見渡せるので、大きな窓から海と空を眺め、贅沢な気分に浸ることができます。大自然に囲まれたロケーションなので、夜空も素敵です。余計な明かりに邪魔されずに、ゆったりと星空を眺めましょう。


ホテルから加計呂麻島へ渡る船の出る古仁屋港までは、約11kmです。車で15分ほどと、アクセスが良いのが嬉しいですね。ホテルでは加計呂麻島散策付きのリセットプランを提供中です。パワースポットを散策しながら加計呂麻島の絶景に癒され、心と体を存分にリラックスさせましょう。なお、奄美空港からホテル間は、ホテルスタッフが送迎してくれます。

神秘的な魅力あふれる離島で非日常を満喫しよう

神秘的な魅力あふれる離島で非日常を満喫しよう

奄美大島にも加計呂麻島にも、現在ののびやかな美しさからは想像もつかない、紆余曲折の歴史があります。はるか昔、源氏と平家の時代から現在にいたるまでの経緯を知ってから島を散策すると、すでに訪れたことがあっても新しい視点で見ることができるのではないでしょうか。なお、初めて加計呂麻島を訪れるのなら、ホテルのツアーを利用するのもおすすめです。心と体を癒しに、奄美大島や加計呂麻島を訪れてみませんか。

加計呂麻島を望むリゾートホテル【THE SCENE】
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