奄美大島の南端からさらに南の海上に位置する加計呂麻島は、周囲を透明度が高く珊瑚礁が広がる海に囲まれています。加計呂麻島では真っ青で透き通った南の島ならではの自然豊かな海でシュノーケリングやダイビングを楽しむことができます。ほかにも、シーカヤックやSUP、ホエールウォッチングなど、参加できる海のアクティビティが豊富です。
加計呂麻島で楽しめるのはそれだけにとどまりません。陸に目を向けても南国の花などの植物のように、奄美大島ならではの自然を感じられる癒やしのスポットがあります。なかでも、加計呂麻島で有名なのはガジュマルの木です。ガジュマルは熱帯地方に自生しているクワ科の木で沖縄や屋久島などにもみられ、観葉植物としても人気があります。
温暖な加計呂麻島では巨木に成長し、複雑に幹が絡み合う姿が神々しく、神秘的な雰囲気をまとっています。加計呂麻島の武名集落には、神が宿る木として地元の人に大切にされてきた「武名のガジュマル」があります。周囲を圧倒するような巨木のガジュマルは、生活の中の小さいことなど気にならないという気持ちにさせてくれるくらいの迫力があり、多くの人が足を運ぶパワースポットとしても有名です。
加計呂麻島は空港がなく直行便などがないため、まずは奄美大島まで行く必要があります。東京から奄美大島までは飛行機で約2時間、大阪からは約1時間半、福岡からなら1時間あまりで行くことが可能です。成田空港や羽田空港、伊丹空港、福岡空港からは直行便が出ています。また、鹿児島からなら飛行機はもちろん、フェリーで渡ることもできます。
奄美大島まで行けば、そこからはフェリーです。加計呂麻島に行けるフェリーが出港している港は奄美大島でも南部にある瀬戸内町の古仁屋(こにや)にあります。奄美空港からフェリーの出る古仁屋港までは、バスを利用するかレンタカーで行くことになります。加計呂麻島側の港は島の中心の瀬相港(せそうこう)と東側の生間港(いけんまこう)の2箇所です。奄美大島から加計呂麻島までは15~20分ほどでアクセスできるので、それほど長旅ではありません。奄美大島でレンタカーを借り、そのまま加計呂麻島をまわる場合は特にフェリーが便利でしょう。
奄美大島から加計呂麻島までは、海上タクシーの運航もあります。ただし、定員数が12名と少なく、普段は島民の足として利用されているものです。観光客が占領してしまっては島民の人に迷惑をかけることも考えられるため、観光する場合はフェリーを使うのがおすすめです。
加計呂麻島の島内には、電車などの移動手段がありません。バスは運行されていますが、本数が少なく、利用するときは時間を考えて観光スケジュールを組み立てる必要があります。また、加計呂麻島は海に囲まれた離島で海の恵みも多くある一方、陸地は山が多い地形です。移動するのも山道がメインになるため、徒歩での移動はきつい場所も多くあります。観光スポットやグルメスポットなどは徒歩でまわるには距離が離れていることもあり、車での移動がおすすめです。
奄美大島でレンタカーを借りてそのままフェリーで加計呂麻島にわたるのもいいですし、加計呂麻島の港にもレンタカーの営業所があります。加計呂麻島にきてから観光するためにレンタカーを利用するときは、あらかじめ予約しておくとスムーズに手続きが済みます。海岸沿いを通っている県道や内陸の道路もカーブが続く道が多いので、加計呂麻島で車移動をするときはあまりスピードは出せません。その分、のんびりと島を巡ることができるでしょう。
加計呂麻島の中でも南東部分を占める諸鈍(しょどん)もおすすめの観光スポットのひとつです。生間港から南の諸鈍湾側にも徒歩で行ける距離にあり、諸鈍の町には車で3分ほどでアクセスすることができます。諸鈍は島の集落の中では最も人口が多い場所です。見どころのひとつである白い砂浜が続く諸鈍長浜からは青く広がる海を一望でき、加計呂麻島の自然を満喫することができます。
そして、諸鈍の有名スポットが樹齢300年ともいわれるデイゴ並木です。もともとは、琉球との交易する際の目印として植えられたといわれています。デイゴは沖縄の県花にもなっている花で、THE BOOMの「島唄」の歌詞に登場することでも有名です。特に海岸沿いに濃いオレンジの花を咲かせる5月末頃の風景は圧巻で、並木道を散歩しながら加計呂麻島の自然を楽しむことができます。
デイゴ並木沿いにある「リリーの家」は映画「男はつらいよ寅次郎紅の花」の舞台になりました。現在は民宿としてリニューアルされており、寅さんが訪れて感じた加計呂麻島の雰囲気を今も残す場所になっています。ほかにも、集落の中に入っていくとタイムスリップしたような昔ながらの民家が立ち並ぶ風景を見ることができるため、人々が営む島の生活に触れることも旅の醍醐味でしょう。
生間港から車で約15分、諸鈍の集落からさらに南に行くと、徳浜(とくはま)と呼ばれるビーチがあります。諸鈍から徳浜までは山道ですが、海に面した徳浜に着くと真っ白な砂浜と目の覚めるような青い海が広がります。徳浜ではさまざまな形の貝殻を見つけることができるため、貝殻探しが楽しいビーチです。また、有孔虫の殻で星の形をした星の砂も見られるビーチとして知られています。
大潮の時期には干潮になると目の前に広がる珊瑚のリーフが海面上に顔を出すため、歩きながら南国の海の様子を間近で見ることができます。もちろん、大潮の時期ではなくても、シュノーケリングを楽しみながら珊瑚礁を泳ぐ熱帯魚探しをすることも可能です。また、徳浜の海の方を向いて左側に目をやると、「ライオン岩」と呼ばれる珍しい岩場も見ることができます。岩がライオンの形に見え、記念撮影のスポットとして有名です。ビーチ近くの集落の中には塩を生産している「さんご塩工房」があり、徳浜の海水から作られる天然塩は加計呂麻島を訪れたお土産としてもピッタリです。
瀬間港から南東の伊子茂湾沿いに広がる「於斉(おさい)」も加計呂麻島のおすすめスポットです。於斉の集落まで瀬間港からは車で7分ほどでアクセスすることができます。伊子茂湾に面した於斉海岸には「於斉のガジュマル」と呼ばれる巨大なガジュマルの木があり、その木をみるために多くの観光客が訪れます。於斉のガジュマルは海がすぐ目の前というロケーションにあり、武名のガジュマルとはまた違った加計呂麻島の風景を見られるスポットです。
於斉のガジュマルの木にはロープがぶら下げられているため、童心に返ってターザンごっこをしながら青い於斉の海を見ることができます。また、木陰に設置されているベンチは、島の人たちにとっても憩いの場となっています。時折、集落の人がのんびりくつろいでいることもあり、地元の人たちとの触れあいができれば旅の思い出になるでしょう。
旅行の楽しみのひとつはグルメです。特に、その土地ならではの料理を味わえれば、旅行の思い出になるでしょう。奄美大島で人気の郷土料理に地鶏を使った鶏飯(けいはん)があります。鶏飯はご飯の上にほぐした鶏肉のほか、錦糸卵や甘めに味付けして細く切ったシイタケなどの具材が乗っており、特性の鶏スープをかけて食べる料理です。パパイヤの漬物も乗せられているのが、南国らしさを感じられるところでしょう。
鶏飯は江戸時代から食べられていた鶏肉の炊き込みご飯がルーツで、当時は高級な食べ物でした。その炊き込みご飯がアレンジされ、庶民にも馴染みの深い郷土料理になった鶏飯は、奄美大島に旅行にいくならぜひ食べておきたいグルメです。奄美大島には鶏飯を考案した元祖のお店から地元の人に評判のお店まで、鶏飯を食べられるお店が多数あります。
奄美大島でのおすすめグルメとしては島豚も有名です。鹿児島の黒豚がルーツの貴重な奄美黒毛島豚は育成に時間がかかることもあり、幻の豚ともいわれています。もともと奄美大島では、島民が家で豚を飼育しているのが珍しくない環境でした。正月にごちそうとして出されたり、肉が貴重な時代は塩漬けにして食べたりなど、島の人々の生活には欠かせないものだったのです。
そのような背景から、肉を大事に余すことなく食べる文化が育ちました。そのため、奄美大島では島豚をとんかつやしゃぶしゃぶで食べられるお店があるのはもちろん、豚すじや豚タン、軟骨、耳をカリッと炒めたミミガーなど、多彩な島豚グルメが堪能できます。また、郷土料理にはほかにも、豚肉と麦味噌・黒糖などで作られ、地元では常備菜として馴染みのある豚味噌があり、奄美大島のお土産として買って帰るのもおすすめです。
観光地として全国から多くの人が訪れる奄美大島には数多くのホテルがあります。その中でも、奄美大島の南端にある「HOTEL THE SCENE」はすぐ目の前に美しい奄美の海が広がるロケーションに建つホテルです。加計呂麻島もすぐ先に見える立地で、加計呂麻島へのフェリーが出ている港までは約15分で行くことができます。ホテル周辺はウミガメもやってくる南国の青い海はもちろん、豊かな亜熱帯の緑にも囲まれ、手つかずの自然が美しい環境です。
ホテルで滞在しながらシュノーケリングやSUP、透明のクリアカヤックが楽しめるほか、少し足を伸ばせばダイビングやマングローブの原生林に出かけるツアー、大島紬体験などに参加することもできます。ホテル内では奄美大島の名物である鶏飯や、奄美諸島でしか生産されていない黒糖焼酎も味わえます。屋上テラスでは、天気が良ければ空一面に広がる満点の星空を堪能することもできるでしょう。オーシャンビューの客室は白を基調としたシンプルな造りで、窓から見渡せる奄美大島の美しい海の風景とマッチしています。